月別アーカイブ: 2010年1月

水不足から洪水へ

暫くすると、ドアの叩く音です。
「なんです」と、ドアを開けると、
女性がチョコレートを差し出しています。
何でだろう?何だろうと、如何わしいお姉さんですか?
それとも新興宗教の勧誘でしょうか?不信です。
尋ねても、「言葉分りません」と、言うばかりです。
果たして彼女達の正体は???

また暫くすると、ドアの叩く音です。
「夕食、如何します」と、今度は車椅子さんと、
弱視のお母さんです。
「トレイス君も寝かせちゃったし」と、出掛けるのは
もう面倒です。
帰りに水と、出来れば出良いのですがと、
サンドウィッチお願いします。

三十分ほどして、
「車椅子さんが頑張ってくれて」と、お母さんが言って、
水とジュースとサンドウィッチの包みを抱えて帰ってきます。
「あー!ありがとう!」
寝ていたトレイス君も大喜びで飛び起きてます。
ちょこっと車椅子さんと遊んで、また直ぐ寝ます。
「えー!其れだけ、車椅子さん物足りなさそうです。
トレイス君も疲れが出ていて、遊ぶより寝るを選びます。

またドアをノックです。添乗員さんです。
「水買ってきたよ」と、ペットボトル四本渡されます。
ちょっと、「えーっ!」です。水六本に成ってしまいます。
水不足から、洪水です。
ありがたいような!ありがた迷惑のような???

さーヒス品もシンプル

12月15日 プラハの夜

ホテルの部屋で一人に成ると
トレイス君をお湯で拭いてあげて、
トイレをさせ、それから部屋の探検です。
湯沸しポットが在るか、サービスの水やコーヒーや紅茶が
置かれているか、ティシュやゴミ箱、電源も探します。
此のホテルは廊下も部屋もシンプルなら、
サービス品もシンプルで何も有りません。
水困ります。コーヒー飲めません。

暗く成って随分時間が経つので、
もう寝る時間の様な気がして、
夕食は終わったかな!と、思っていましたが、
なんと、まだ午後七時過ぎでは有りませんか。
添乗員さんが来て、何人かの方がオペラを見に行くけど
「入場券が取れるかどうか分らないから止めときます」と、
言ってます。「えっ!それて行くなって事ですか?」
お城からずーっと歩いて疲れているので寝る事にします。
「じゃ、オペラ座の帰り、トレイスの水買って来てやって
くれませんか」と、お願いすると。
「どうせ買うんだから部屋の冷蔵庫の水使いなさい」と、
言われます。
今までは部屋にある水は高いから使わないように、と、
言ってたのですが・・・
だんだん添乗員さんも疲れたのか?
O女史風が定着したのか?投げやりです。

仕方なく冷蔵庫から水を出します。
ペットボトルでは無くガラスビンです。
「うーん 高そう!」

旅は日々手探り・・・

プラハのホテルのエレベーター操作は
果たして旨く出来るでしょうか?
最悪の時も、何とか成る物です。

添乗員さんと目の悪いご夫婦と僕らはエレベーターに乗り、
添乗員さんのサポートで押しボタンを押します。
ご夫婦は四階です。四階で降りてもらい、
添乗員さんは僕と五階に上がり、其処で僕を待たせ、
フロアーの向こうの階段で降りて、
ご夫婦を部屋に案内して、室内の説明をして帰って来ます。
其の間暫く時間があったので、
エレベーターの前で辺りを観察です。
廊下のライトがずーっと向こうまで続いています。
エレベーターの前には広いフロアーが広がっていて。
そして、其のフロアーの向こうに階段が在るのだろうと、
想像してしまいます。
添乗員さんの階段を駆け上ってくる靴音が響きます。
それも遠くから響いてくる気がします。
そう思ってしまった事が翌日の悲劇に繋がります。

添乗員さんが来て僕の部屋に案内してもらいます。
まず右に曲がって、一つ目の角で又右に曲がって、
右側の二つ目のドアが僕の部屋です。わー簡単。
今までのホテルに比べて、斜めのラインも無いし、
単純な導線です。

ドアのカードキーそうさも、今までのホテルの様に
横に入れるのではなく、下に落とすように入れます。
カチッとカードが当たる音が小気味良くって、
スイッチを入れたような確かさでドアが開きます。
部屋の中もシンプルです。家具は直角に置かれています。
斜めだとなかなか感覚が掴めず苦労します。
添乗員さんはさっと部屋の説明をしてくれます。
でも一泊目は馴染み切れませんね。
そして二泊目に、様子が分って、馴染んだら
もうお別れです。

カードキー事件inドレスデン

段々疲れてきてます。くどくど書いて澄みません。
もう少しですからね。
12月15日、ドレスデン出発の朝の事です。
記憶が曖昧でベルリンの朝を書いてしまいました。
カードキーで思い出します。
訂正、15日の朝
ドレスデンのホテルのエレベーターも押しボタンが
少しずれて二列です。
でもほとんどの人が同じ階だったので
自分でボタンを押す必要が無かったのです。
車椅子さんから「トランクを台から下ろして下さい」と、
頼まれます。それはお安い御用です、が、
車椅子さんの部屋だけが何故か二階です。
一人でこのボタンを押して、素早く上り降りする
自信は有りません。
ではまず、僕の五階に一緒に行って、僕のトランクを出して、
それから二階の車椅子さんのトランクを下ろして、
エレベーターまで送ってもらって五階のボタンを押してもらう
って、段取りにします。

五階の部屋の前です。
カードキーを差し込んで、引き抜き、ピっと鳴ったら
ドアのレバーを押してドアを開けます。
あや、や、や、や、何度やってもドア開きません。
変わりに車椅子さんがやっても開きません。
また変わってやっても開きません。何度やっても駄目です。
其の時、添乗員さんが廊下に出てきます。
「他の部屋も開かないみたいだ」と、焦っています。
今朝出発の僕らのキーは削除されたのでしょうか?
「でも開く部屋も在るんだ」と、首を傾げてます。

では、どうかな?と、車椅子さんの二階の部屋に
行って見ます。あっ!やっぱり開きません。
出発の時間が刻々と迫って来ています。
車椅子さんはフロントに言ってくると、車椅子を走らせます。
僕はドアの前で待ちます。
其の時、前の壁が開いて誰か出て来ます。
ドアの前に立ってる僕に「どうしたんだ?」と聞いてきます。。
「カードキーが使えなくってドアが開かない」と、言います。
「どれ、開けてあげるよ」と、其の大柄なオジサン言います。
僕は直ぐ顔に出るタイプなので、其の時、
恐れている顔をしたのでしょうか?
「大丈夫、俺はカバン係だ」と、言ってます。
いわゆるポーターさんです。
いきなり車椅子さんの部屋を開けようとします。
「あ!ストップ。ここは友人の部屋で、僕は五階です」
「そうか!」と、ポーターさんは壁に入っていきます。
そして僕に「来い!」って、言います。
其れは、サービス用にリフトに成ってます。
其のリフトで五階の僕の部屋まで行きます。
こんなのに乗れて得した気分です。ポーターさんは
「俺はマスターキーを持ってるんだ」と、自慢げです。
簡単にドアは開きます。
一緒に部屋に入って、
準備してあったトランクをだしてくれます。
「他に何か困ってないか」と、言うので、
二階の車椅子さんの方も宜しくとお願いします。
はらはら どきどき ちょっと楽しいスリルの朝でした。

歩道もエレベーターにも困難が・・・

やけっぱちで飛び出したが、プラハの人込みは大変です。
歩道と言ってもごろごろ、がたがただし、
行き交う死とは皆巨体で、
ぶち当たったら跳ね飛ばされてしまうでしょう。
散歩犬もウロウロいます。

でも 僕らは 怒ってるぞ!と、進みます。
あれっ!道が歪んで方向を失いかけます。
「大丈夫、見てるから!」「間違えたら教えるから」と、
うしろから車椅子さんの声です。「ありがとう!」
車椅子の運転も大変なのに心配掛けてます。

電車通りを横断する所があります。
路面電車がごうごうとやって来ます。
万事休すです。電車に挟まれそう。
現地ガイドさんの助けがあり、無事横断です。
なかなか怪我もさせてもらえません。
無事ホテル到着です。

ホテルではバスで荷物を持って帰ってくれた
添乗員さんが待ってくれてます。
皆さんに荷物と部屋の鍵を渡して、
添乗員さんは、ご夫婦と僕らを部屋に案内です。
まずエレベーターに乗るとです。カードキーを差し込んで、
利用階数のボタンを押さねば成りません。
練習です。カードキーは手探りで差せます。
ボタンは無理、左右少しずらし気味に二列に成っています。
僕の五階は真ん中辺り、右なの、左かな???

O女史のデザイン画は・・

買い物を終えてベンチに帰ってくると、
あのご夫婦は、まだベンチにひっそりと座っています。
そんな姿を見ると何だか淋しく成りますね。
トラベルデザイナーのO女史は、こんな光景を見て
どんな風に思うのでしょうか?
O女史のデザイン画はどう描いてあるのでしょうか?
いつも思うのですが、自分が視力を失ってしまった時、
何を楽しみに生きていけるのだろうかと・・・思います。

僕の買い物を持って来てくれた店員さんに
「ありがとうね、暖かいベンチで待たせてもらって」と、
お母さんが言います。
僕はそんな 良い障害者にも成れません。

現地ガイドさんが案内に来て、
天文時計の6時の時報を見に行きます。
やっぱり僕らは仕掛けは見えません。音だけです。
さあ!現地ガイドさんの案内でホテルへ歩いて帰ります。
さっきのクリスタルの店の店員さんが来て、
店の割引券と。コーヒーのサービス券を配っています。
どうせならベンチで待ってる時に下さいよ!!

ホテルへの道は繁華街なのでしょうか?
祭の様な混雑です。
誰かが車椅子さんの取っ手を持たせようとします。
「いいよ!」って、僕は其の手をはね退けます。
「それじゃ、方向が分らなくなりますよ!」と、言ってます。
手も痛いし、足も痛いし、何だか何もかも腹が立ってきて、
「どうでもいいや!」って、気持ちに成って、
行き交う群衆の中に、トレイス君と突入です。

カレル橋の願い・・

暗い中でピカピカ光っているのは
宝石だったんですか。
「なにかワンちゃんの置物有りませんか?」と、
日本語の店員さんに安心して聞きます。
「小さいのなら在ります」と、いつつばかり、
向こうから取り出してくれます。
わーっ!ちっちゃい、小指の先ほどしか在りません。
手に取らせてもらうと耳の長い小型犬の風情です。
「もう少し大きくってトレイス君に似たのは在りませんか」と、
問えば、「これっ切りです」と、言いながら、
「あー、今年のクリスマスバージョンのが在ります」と、
ウィンドウから一匹連れて来てくれます。
それはサンタクロースの帽子から可愛いワンちゃんが
顔を出してます。「あっ!此れ下さい」
ひと目で気に入ります。
値段を聞きます。其の時「ちょっと高いな」って
顔をしたのでしょうか?店員さんの説明が
「当店はクリスタルの品質が優れています、街中で
売っている物とは違いますので」と、言われます。
はい、はい澄みません。
「こういうのって百円ショップにもあるようなと、
一瞬思いました。許してください」
ダイヤモンドもガラス玉も区別が付きません。

そうそう!カレル橋で聖人カレルの足元の
犬の像に触れた時
「ワンちゃん物のお土産が見つかりますように」と、
お願いしました。これで早くも一つ叶います!

旧市街広場のベンチで・・・

プラハ旧市街広場のクリスマスマーケットには
ブルーのLEDライトの近代的な
クリスマスイルミネーションが輝いています。

取り残された僕らはベンチに座ってお話しです。
外は寒いし、目に成ってくれる人が居ないと、
散策は無理です。
お母さんがぽつりと
「私が死んでもね、娘がお父さんの面倒はみるからと、
言ってくれてるの」と、言います。
あっ!昼食のO女史の言葉を気にしています。

「何にも無いのに、突然ピアノを買ってきてびっくりしたわよ」
と、お母さんが話してくれます。
お父さんは結婚して初めて買った大きな買い物は
ピアノだったのだそうです。
なかなか素敵なお父さんですね。

話しが途切れた所で、ご夫婦を残して
僕とトレイス君はウインドーショッピングに出掛けます。
明るいお店はボヘミアグラスです。
カットガラスが照明に煌いています。
店内に入って見ます。ちょっと暗いです。
棚に在る物は高価な花瓶です。
ケースの中で何かがきらきらです。
じーっと覗き込んで居ると 「其方は宝石で御座います」と、
日本語が聞こえてきます。

プラハ旧市街へ

あれーっ!先に来た時の事を思い出してみると、
もう一度、プラハに来ることが出来ると言う、
何とか聖人のサンダルを履いた足を触ったような???
記憶は曖昧ですが、そうだとすると、
其の願い事は叶ったのです。
それではと急いで
少し離れた所からですが、ひとつふたつ願い事を
頭の中で念じます。

此れから旧市街へ入って行きます。
今日は16日水曜日ですが、沢山の人出です。
カレル橋の袂でトレイス君にオシッコしてもらいます。
旧市街中心に向かうと益々の混雑、スリに注意です。
天文時計です。時報を知らせる時に仕掛けがあります。
今、五時半、三十分後に見に来ます。

ショッピングセンターのトイレを借ります。
では、三十分後に集合、皆さん旧市街広場の
クリスマスマーケットに散って行きます。
添乗員さんはバスの使用時間が6時までだと、
バスの中に残して有る荷物をホテルへ運んでいきます。
わっ!僕と、目の悪いご夫婦だけが、
ショッピングセンターのベンチに取り残されてます。

カレル橋の犬

ちょっと遠回りですが、シェパードを避けて
無事、ヴォルタヴァ川に架かるカレル橋到着です。
黒い水を湛えてとうとうと流れるヴォルタヴァ川の
カレル橋はまるで広いオペラ劇場です。
橋の上には幾人もの聖人の像が立ち並び、
クラシックな外灯が照らし出す様は
まさに今、オペラ座の怪人が演じられている舞台です。
外灯の光に映ったり、消えたり、沢山の出演者です。

沢山の聖人の中の「カレル像」の台座の所のレリーフを
触ると、願いが叶うそうです。
添乗員さんが其処まで連れて行ってくれます。
皆さんが触るので其処だけがピカピカに輝いています。
「あっ!犬の絵です」 左側はトレイス君の様な
大きな犬がシッツです。
不思議と僕の目にもはっきり見えます。
右側の絵はと、指で触っても、じーっと目を凝らしても
何だか分りません。「右側の絵なんですか?」
返って来たのは、「ワン吉さん、うしろがつかえてます」です。
「えーっ!」
あわ、わ、わ、焦って願い事をするのを忘れます。