月別アーカイブ: 2010年9月

思いを残す海岸

11‐ロケの旅 思いを残して・・
此のロケの旅に出るきっかけに成った
宿毛の小川さんとは不思議なご縁で、
会った事もない。見ず知らずの僕に
電話をくれて、いろいろ教えてもらいます。
福祉機器の事、障害年金の事、音声携帯電話や
交通機関のサポートの事、そして
JRPS=日本網膜変性症協会の事、
今、便利に生活出来ている全ての事を
八年前に教えてもらっています。

四国半周の旅の途中、
僕の白杖が折れてしまいます。
偶然、小川さん宅の近くを通り掛かります。
電話しますと、「ちょっと寄っていけば」と、言われます。
白杖が折れた事を話します。
「之持っていきなさい」と、
木のクラシックな感じの白杖を頂きます。
スーツを着た時でも、ステッキの様で
とても気に入り、愛用していたのです。
此の冬に折れてしまいます。
其の時、ちょっと不吉なものを感じます。

今回、黒潮町 入野海岸の話を書くときも、
資料が欲しかったので電話しますが、通じません。
ロケも終わり、放映も決まります。
是非見て欲しいと思ったので電話します。
何度かけても電話は通じません。
もう、その番号は使われなくなっています。

とても心配です。
高知の水田さんに調べてもらいます。
水田さんも、高知支部設立をお知らせしたいと、
小川さんは病気に成る前、
支部設立にかなり尽力されていたそうです。
何度電話しても通じず、同じく心配していました。
水田さんは八方手を尽くして調べてくれます。
やはり残念ながら亡くなってられました。
小川さんありがとう!高知支部は羽ばたきましたよ。
天国で見守っていてください、そして安らかに、合掌

そして、もうひとり、此の海岸を案内してくれた
友人も、先年亡くなります。
朝のロケの時、友人の家の前を通ります。
お母さんの看病の為に建てた家です。
電灯も灯ることなく、薄暗がりにひっそりと在ります。
夕方、友達の妹さんが会いに着てくれます。
「兄が生きていれば、どんなに喜んだでしょうに」と、
トレ君の頭を撫でながら、涙をこぼされます。
人生のはかなさを感じる旅にもなりました。
「日本巡礼 ひかりの渚よもう一度」が、
おふたりの供養になればと思うのです。
此の海岸は忘れられがたく、深く思いを残します。

空からも撮影?

10‐ロケの旅 クレーンに乗って!
二十七日午後、全てのロケを終わった僕は自由です。
清水の画家の友人が遊びに来てくれます。
四万十川を観光に連れてってもらいます。
あつい、暑い、熱い、何処にいても
午後の暑さは絶えれません。
川辺にこじゃれたカフェも見つかりません。
結局、海岸に帰って海の家に行きます。
大きな納屋の様な海の家は、風を通して涼しいです。
久しぶりにカキ氷など食べます。
それがそうめん鉢に粗挽きの氷が山盛りです。
うひっ!お腹がぼがぼです。

友達が向こうの海岸で、
「クレーンに乗って撮影してるよ!と、言います。
僕のロケ隊か?と、聞きます。
「まさか、其処まで大げさな事はしないでしょ」と、
僕は答えてしまいます。
夕食の時、聞きますと、
えっ!それは、なんと僕のロケ隊だと、
其処まで大げさな事してたんですね!
それならそうと教えてくれていたら、
クレーンに乗ってみたかったです。

はい!カット

9‐ロケの旅 涙待ち!
七月二十七日、火曜日の朝です。
今朝も海岸のロケです。
昨日は余りにも早すぎたので、
朝日が昇ってから撮ります。
僕のシーンは直ぐ終わります。
カメラさんがカメラのバッグを
僕の為に椅子にしてくれます。
皆さんの撮影が終わるまで、其処で待ちます。
トレ君に朝御飯のお弁当を上げます。
昨日も今日も海亀探査のオジサンが通っていきます。
毎日、この四キロの海岸を往復して
探査してるそうです。
砂浜を毎朝8キロ歩くんですよ!凄い!

最後に海岸での僕のインタビューがあります。
見えなく成った事などあれこれ聞かれます。
インタビューでは決して涙は流さないぞ!と、
思っていたのですが、
失明して、朝日も月も無い世界にはいっていくのだと、
心によぎると、涙が溢れてしまいます。

「はーぃ カット」
そこで、僕のシーンは終わりです。
ディレクターさんに仕掛けられた罠です。
繰り返し責めてくる質問は、
僕の涙待ちだったんです。

赤い月

8‐ロケの旅 赤い満月
僕は幼い頃から視力が弱かったので、
星空は見た事ありません。
真っ暗な広い空に見えるのは月だけです。
そんな僕を思ってか、ロマンティックなディレクターさん
今回のロケに月夜の海岸の散歩を加えてくれてます。
七月二十六日、月曜日は真に満月です。

スタッフさん達は、夜の海岸で
僕とトレ君を照らすために
砂の中に発電機まで仕掛けてくれてます。
夜の海は幻想的です。
波音が昼間より長く響いてムードを高めます。
あー其れなのに、若い人が向こうで騒いでます。
スタッフさんが「撮影中だから」と、黙らせます。
息を呑んで月の出を待ちます。
今夜は空が黒い雲に覆われているようです。
「中空に星が一個瞬いているだけだな!」と、
ディレクターさんが言います。
昨夜はあんなに綺麗な十四夜でした。

「あ!出た」と、誰かが小さく叫びます。
「オレンジ色だ!」と、言ってます。
色が淡いせいか、視点の方向が違うのか、
まだ僕の目には映りません。
ディレクターさんが僕の頭を抱え、
手を差し伸べて、月の方向を定めてくれます。
あっ!見えます。赤い月です。
朝日と同じ水平線から月が昇っていきます。
人生六十数年にして、初めて、
海岸で月の出を見ました。
また、それが思いもよらぬ赤い月です。
今回のロケで心に残る光景です。
ー残念ながら編集でこのシーンはカットだそうですー

さすが南国!

7‐ロケの旅 南国の太陽はくらくら!
夜中にトレ君が顔を突きに着ます。
何だ!と、思って、目を覚まします。
わーっ!すっかり部屋が冷えてます。
冷房点けっ放しで、旅の疲れか寝てしまっています。
トレ君、冷えてオシッコしたいですか?
あっ!夜食も寝る前のトイレもさせてません。
急いで起きて、トイレをさせて、夜食も少し上げます。

そうだ、今日は早朝ロケです。
寝過ごしては大変です。
ついでに髭を剃っておきましょう。
僕は髭面仲間では有りません。
トレ君は安心したのかいびきです。
僕はおろおろしてる間に、ディレクターさんから
モーニングコールです。

午前五時前は真っ暗です。
夜明けを目指してロケ隊は出発です。
ロケの始まりです。
暗い松林の中、トレ君と海岸目指して進みます。
ここからはテレビで見て下さいね。

入野海岸は初めて来た時と印象が違います。
前は冬晴れの風の強い日でした。
もっと透明感が有って、白波が何処までも続いて、
とても新鮮な美しさでしたね。

それからホテルに帰って朝食です。
日中は僕とトレ君はロケは無しです。
ディレクターさんがトレ君の熱中症を心配して、
昼間は休めます。
でも退屈なので、ちょっと散歩にと出てみますが、
南国の太陽はくらくらします。
早々に退散、冷えた部屋で昼寝です。

髭面!

6‐ロケの旅 こじゃれたレストランで・・
こじゃれたレストランは南仏料理も有りますが、
鮪のタタキとか南国料理も有ります。
いろいろ取って、皆でシェアーして食べますね。

スタッフの皆さんは良く食べます。
テレビの現場は肉体労働だと言ってます。
音声さんは、百八十ヶ国へ行ったとか、凄い!
「皆さん、どんな顔ですか?」と、聞くと、
音声さんは、自分はマイケルジャクソンと
オバマ大統領かに似てると、言ってます。
要するにブラック系の顔ですか!
照明さんは、聖徳太子に似てると言われてます。
「髭のせいだろう」と、ディレクターさんが言います。
えっ!髭をはやしてるんですか?
なんと全員、髭面ですか?
顔が黒いので髭面は分からんかったです。
ディレクターさんは達磨だと言われてます。
坊主頭で太っている?
第一印象で都会的なスッとした人と思ったのは何故?
しゃべりと声で惑わされてます。
カメラさんは?
誰も答えません、一番年長なので遠慮です。
いつも顔の前に大きなカメラが在るので、
僕としては目玉親父の印象です。

あっ!そうだ。食事の時にNHKの高知総局長さんや
現地の役所からも挨拶に来てくれます。
段々、詐欺の猜疑心が消えていきます。

いっぱい食べました。
和洋中の居酒屋メニューになってます。
明日のロケは日の出からです。
日の出が五時十五分だから、
ロビーに四時四十五分集合と言われます。

黒潮鉄道はワンダーランド!

5‐ロケの旅 黒潮鉄道で・・
今日は七月二十五日、日曜日です。
午前中は、僕の日常生活の撮影と、
インタビューです。
インタビューは西日を警戒して、
東の部屋で始めます。
だけど午前中は西日は無いですよ・・

インタビューは、早目に切り上げて、
さぁ!出発です。
「心にひびく場所」に出会う旅の再現です。
旅の様子はテレビで見てくださいね。

あ、そうそう、前に黒潮鉄道に乗った時です。
海、海、海が見たいと言ってたのに、
海側の席と山側を間違えて、
其の上、社内が混んでいて、全然海も見えず、
とても残念な思いを残します。
今日は、ロケの為の貸切り常態です。
海も見え、美しい田園を行く
赤い、一両編成の列車の旅は夢です。
前面窓の列車は、遊園地の遊具に乗ってるような、
メルヘンです。

今夜の泊まりは、海辺の白いホテルです。
今日は、もう撮影は無しで、会食です。
こじゃれたレストランは、地中海のリゾート風に
ポトフとかラタトィユやマリネもメニューに揃えてます。

ロケ隊到着

4‐ロケの旅 ロケ隊到着
今は七月二十 四日、土曜日です。
打ち合わせから二週間が過ぎます。
「今、羽田飛行場です」と、ディレクターさんから
朝七時頃に連絡です。
十一時前に、どやどやとロケ隊到着です。
早い!昔は東京まで一日の旅でしたね。
ヘルパーさんに接待用のお茶など
買ってきてもらう予定ですが、ヘルパーさん未だです。
わー、機材がいっぱいです。
「一番コンパクトなのだよ!」と、言ったカメラも、
さすがハイビジョン番組です、重そう!

ヘルパーさんとの買い物シーンの撮影をして、
スタッフの皆さんも昼食に弁当を買ってきて、
僕は明日から三日間のロケの旅に具えて、
冷蔵庫の中の生ものを整理がてら食べます。
午後はインタビューです。
あ 、ら、ら、失敗です。
インタビューを始めた部屋は西側です。
どんどん西日が・・・
床に反射し、僕のメガネを光らせます。
照明さん、音声さん、協力で西日を抑えます。
大きな板で頑張っている様子を見ていると、
僕はなかなかインタビューに集中出来ません

ロケの旅

3‐ロケの旅 日本巡礼
投稿が採用され、番組に成る事になります。
でも、この「日本巡礼」 なる番組を観た事が無いです。
見たのは、番組の予告を、ちょこっとだけです。
出演すると成ると、少しは内容を知っていなければ!
急いでネットで番組表を探します。
見ないはずです。真夜中とか
ずーっと見ている番組と重なってます。
でも何とかロケの日までに三本見れます。
「うーん なかなか、良い感じ!」と、番組の感想です。

ディレクターさんは、現場にロケハンに行って、
東京に帰って、あれこれ手はずの打ち合わせや
相談が来ます。

そもそも此の旅、「こころに残る場所」は、
八年前に遡ります。
地元の病院の眼科医とトラブルが有り、
高知県すくもの小川さんに紹介された中村の眼科を
受診に行く事から始まります。
其の帰りに立ち寄った入野海岸との出会いで、
失明してゆく恐怖から解放された、
希望の夢のお話しです。

ロケの旅‐2

2‐ロケの旅 序曲
今日は七月八日 木曜日です。
詐欺?真実? 詐欺?真実? と、
思い巡らせている間に、一日過ぎ
トントンと、ドアをノックする音です。
八日の昼過ぎディレクターさん到着です。
わー、早い、何も教えないのに直接我が家です。
「本当に東京から来たの?」 猜疑心が・・

投稿文や家や作品、何もかも褒めてくれます。
うーん!良い気に成ってる場合ではありません、
相手をじっくり見極めねば!
黒いTシャツに白い上着のディレクターさん、
其処ばかりが目だって顔は分かりません。
お客様好きのトレ君は、嬉しそうに擦り寄って、
都会の匂いを嗅いだり、甘えたりしています。
話し方は柔らかで、都会的でもあります。が・・・??

ひと通り、旅のいきさつや、
網膜変性症の事を話します。
「では、一緒に旅に行きましょう!」と、決定です。
ディレクターさんの頭に番組の構想が出来たようです。
其の後、部屋の中や家の外やあっちこっちを
デジカメでパチリパチリです。
うっ!もしかして詐欺の構想が出来上がったのでは?