月別アーカイブ: 2024年6月

美味しいご飯ー12

  そのころは  稲を乾燥させていると 田圃に雀が チュンチュンと泣きながらやってきます。 落穂だけを拾ってくれるといいのですが 掛けてある イネの穂にも 手を あっ 手じゃなくくちばしを突っ込んで 稲の穂を食べようとします。  いろいろ 雀の脅しを工夫しますが
ほとんど効果がありません。
時間的に  ポンポンと鉄砲のような 音を立てる 雀の脅しも 工夫されていますが・・・ それさえもパラっと 一瞬 飛び上がっりますが 直ぐ 降りてきて 稲の穂に頭を突っ込んでいます。
 時に 霞網を持った 小父さんがやってきて イネの上にそれをかけて 雀を取らせてくれ!と行ってきます。
 わが家の近くに 漁師さんが住んでいまして 通りかかりに その家の土間を見ますと 数人の人が 火知燐を囲んで 何か焼きながら 酒を飲んでます。 食うか?と その焼いているものを差し出されます。 わー それは 毛をむしられた雀の丸焼きです。 足を開いて 頭からパクリ かじりついてます。 そして 土間にくちばしをぺっぺと吐き捨ててます。
お 何と野蛮な と思いましたが・・・
 霞網を持って 田圃で ススメを生け捕りに来た 小父さんは 捕まえた 雀を町の焼き鳥屋さんとかに うりにいくのだ!と利かされました。
 田圃で乾かせていたイネは 1か月ほどで 脱穀して 実と 藁を 切り離します。

美味しいご飯ー11

 今日の 早朝散歩で 田植えの準備をしている 田圃に出会います。 ケロケロと アマガエルが 群がって泣いているはずなのに ぜんぜん 聞こえません。  未だ たうえを 控えている 田圃からは 低温の ガマガエルの 声が 三匹ほどは聞こえます。
 子供のころには 小川だろうと 排水路だろうと あぜ道の草の間だろうと アマガエルが 雨降れ雨降れと ケロケロ の合唱が聞こえていたのに・・・  この頃は アマガエルは居ません。
思えばいなくなった 生き物が 彼是と 思い出します。
5月の空に 麦畑から まっすぐに 空に向かって 飛んでいたひばりもいなくなったし      其の上空で ぴーひょろろと 大きく輪を描きながら 旋回していたトンビも居ません。
 そうそう 夏に高い声でなく ミーみーぜみもいなくなったし
 稲が実った田圃のふちを彩った 彼岸花の赤い縁取りも亡くなってしまっています。
 
 こんな文章を書いていて 懐かしい風景が 走馬灯のように 現れては消えていきます。  刈り取った 稲を 乾かす 横木に 群がってきていたスズめの声も 聞こえません。
              

美味しいご飯ー10

 送だ 稲作の大敵は台風ばかりでなく 害虫の異常発生にも悩まされました。 当時 強烈な 害虫駆除に掘りドールが用いられていました。 真夏の炎天下の 強力な薬品の散布です。 まだまだ働き盛りの  本家の小父が 一夜の苦しみで 亡くなる 悲しい 出来事もありました。
それでも 台風にも害虫にも 運よくすり抜けて 10月を迎えますと 実をつけた稲が 色好き始めます。 10月10日は 豊作を祈願するいや 方策を祝う 鎮守の神様の 秋の例大祭が 執り行われます。 黄金色に 実った稲が 大海の波のように 秋風に揺れる その中を 金糸銀糸の糸で織られた 豪華な膜で飾り立てた太鼓台や 神輿が ドンドコドンドコ 村の中を練り歩きます。  そんな様子を見た 昔の異国の人は 何と日本は 黄金にあふれた国だろうと 驚かせた事です。
 そんな祭りが終わると 稲刈りの始まりです。 老にゅく男女 村じゅうの者が 全員 でそろっての 作業です。 わが家のように 人手が少ない家では 親戚から 助っ人を頼みます。 機械化されていない頃は 田植えに次ぐ人海センジツです。
 そして 刈り取った稲は 田圃に 杭を立て横木を私 稲束を 引っかけ 太陽に十分当てて 乾燥させます。

美味しいご飯ー9

 海で 泳げるのも そう度々あるものではありません・  浮き輪につかまり 一日中裸で浮かんでいます。
 親や 女の子は 借り切った よしず張りの休憩場で 掻き氷を食べたり 昼寝をしたりですが・・・ 男の子は そんな時間が もったいなくって 海から出れません。
 しかし 家に帰って 風呂に入ると わー 大変 日に焼けた背中が痛くって やけどで 水ぶくれです。 とても湯には疲れません。 寝ようとしても 布団に触れる背中が痛くって 眠れません。 そこで タイヤの浮き輪が出番です。 頭と足を載せて 体を浮かせて 何とか 痛みに耐えて 一夜を過ごします。 その後は ピリピリと 皮膚がむけはじめ まだまだ 耐えねばなりません。
                                       盆が過ぎると 少しは収まり
                                                      朝夕に秋風を感じる頃にまなると                                                               新学期の始まりです。
                              9月は 台風のシーズンです。 そのころは 毎年 2つや3つは 我四国せとうちに 襲来です。
 稲の花が咲き始めた 時に 襲撃されますと 折角の 花が風に炒められ 穂先が真っ白になったり 茎が俺 水につかってしまったり とても 実りそうな状態でなくなります。 今までの苦労が 水の泡と 消えてしまいます。

美味しいご飯ー8

一段落の ひと時ですが  田やすみも 終わり 田圃のイメも 水田に安定して 根付いてきますと せとうちの海まで緑一色に 草原のような 広がりになります。
稲も育つと同時に 雑草も 力づいて 伸びてきます。
その時期は 我ら子供は 夏休みですが・・・ 田圃の中のざっそうの 草引きを言いつかります。
 家には 2行一緒にできる 他の草取り と言われる 手押し車のような道具があります。 それを押しながら  田圃の中を 正確に転がしながら進みます。 道具の先は 船のようになっていて スクリュウのところに  横向きのスクリュウ のような道具がついていて 水田の土を  練り返しながら進み 田の土に芽生え始めている 草を  引き倒し 泥の中に埋め込んでいくような 仕掛けになっています。
朝の羅時を体操が終わり 朝ご飯を 書き込んで 少しでも 涼しいうちにと出かけますが さえぎる物のない 田圃には 容赦なく 真夏の太陽が照り付けています。 田圃の水も 早くも 湯だって 泥臭い匂いが・・・
  田植えの時と違って 草取りは 独りきりの仕事です。 どこまでも続くような 田圃が恨めしくしくなります。  それに そのころは 家に冷蔵庫などもないし ペットボトルのお茶なども売ってはいないし お母ちゃんが気を聞かせて 水稲のお茶も 用意してくれてません。  10回ほど往復しても 残る稲の列は 果てしなく続いています。 あー うんざり  時々 行を飛ばして 横着をします。  早く帰って冷たい井戸水を飲みたいです。
  しかし その 横着は 直ぐ見破られます。 その草取り車の道具が通らなかったところは 田の水が住んでくると  目の悪くない  父には 明白に分るのです。 あー 誤魔化しがききません。
それでも 8月1日には 楽しみが待っています。 地区の世話役さんが 計画し 子供たちへのねぎらいも兼ねて 待ちに待った 海水浴に バスを借り切り 連れて行ってくれます。  そのころは 学校に プールが無く 泳ぐ貴会など在りません。 年に一度の海水浴です。 で 泳げません。
 父が児童書のチューブを 浮き輪代わりに 用意してくれています。その浮き輪で 水泳の練習です。
 夏休み前から その浮き輪に乗って 水泳の練習です。  クロールにバタフライ?? なんでもできます。

美味しいご飯ー7

田植え機で 丸く植えただけで この頃は そのまま 稲を育てますが・・・  そのころは 丁寧に畔まできっちり植え付け  そのうえ  畔のてっぺんには 枝豆の種をまきます。
 サトイモや葉煙草を植え付けていた田圃からは収穫し 残しておいた 苗で 稲を植え付けます。  水の便の悪い 田圃には サツマイモにジャガイモ 西瓜にカボチャ トマトやナス きゅうりと 夏野菜を植えつけます。  お百姓さんは 手持ちの土地を 一寸たりと無駄にしません。 おいしいご飯の  おかずも 同時にしっかり育てます。
 父は いつも言っていました。 土地だけはてばなすなよ! 土地さえあれば どうにか生きていけるのだ!というようなことを 遺言のように 言い聞かされます。     だが 視力をなくしていく中で 切り売りしつつ 今の生活に充てることになってしまいます。 姉の相続分も 誰も 農業には携わることもないし 未練もなく 手放してしまいます。
 あの世で 父は悲しんでいるでしょうか? それとも 時代だと あきらめてくれているでしょうか?
 そんなことで 美味しいご飯からは見放されてます。

美味しいご飯ー6

 田植えが終わった 田圃は 澄み切った水田は 空を映して 整然と並んだ 苗を守る科のように 優しく 輝いて 広がっています。 せとうちの  このあたりでは 梅雨の雨が途切れない 6月末までには どの 家でも 田植えは終わらせます。  終わり切っていない お宅があれば 隣近所で 助け合って 終わらせます。
 そして 7月1日は 半夏はんげと称して 半夏の禿団子 蒸し饅頭を作って 疲れを取るため みなさん お休みです。  おばちゃんたちは 手伝いの お駄賃をいただき みんなでそろって 町に出かけます。
まあ その頃ですから 大したものを買ってはこないのですが・・・ 端切れやさんで いい柄を見つけたとか うどん屋さんで 狐寿司などおごって  ニコニコ顔で帰ってきます。 良い 田休み 疲れも取れたでしょう。
 しかし 稲を植え付けたら それで終わりということにはなりません。 雨の降らない としもあり。 一晩中 水の見張りをしたり 争って 鍬を振り上げる騒動もあったエリします。  
  そんな時には ため池で 藁を持ち寄り燃やしながら雨ごいをします。
 神主さんの祝詞に合わせ 展に祈ります。 藁から立ち上る黒い煙が 竜神のごとくに見え お百姓さんは こことと ばかりに 祈りに力を込めます。 すると 願いが天に通じるのか そらにくら雲が広がり ぽつり ぽつりと 雨粒が・・・

美味しいご飯ー5

 美しい水かがみを楽しんだ 後 一気に水田は にぎわい始めます。 夜明けとともに 苗が運び込まれ水田に放り込まれ 田植えの始まりです。 助っ人の おばさんたちも勢ぞろいです。 細い木組みで作られた 梯子のような 定規が 水田に据えられます。 ひと区画を担当者が受け持ち 5人ほどで 定規をずらしながら 後ずさり 正確に 苗を植えこんでいきます。
 あれ この春結婚したばかりの 本家のお嫁さんも 身支度もきりりと   出てきております。 泥沼に咲く 一厘の ハスの花です。 だが お嫁さんは畔から 一歩進められず 立往生 すみません その定規のところまで どうやって行くのですか? 諸体験の お嫁さんの悲痛な声が聞こえます。 その汚泥と渇した 水田に 足を おろすことができないのです。
 そうです。ハスの花も汚泥の中で 花を咲かせるように 美味しい白米も 泥沼に根をおろし 美味しい お米を実らせます。
 お嫁さんとワン吉は 何とか二人で 一人分の定規を任され 苗を植え付けていきます。 3本ほどの苗を右手に取り 泥の中に差し込んで 同時に 抜けないように 周りの土で押さえます。 其の一連の動作を 一瞬の技で行わればなりません。  最初は 遅れてばかりで 隣の おばちゃんが 手早く植えこんでくれます。 上手に 我らが植え込めていなかった苗は 暫くして ぷかぷかと 浮かび上がったりもします。 あー かえって 2度手間をかけさせているような  頭カキカキです。
 ではお嫁さんは 食事の用意をしてきなさい と 夕暮れに 視力が怪しくなる ワン吉は 早々に 放免されます。
 田植えの 人たちは 夕暮れてきても 定規で 上残った所を 丁寧に 畔の水面すれすれまで 手作業で植えこんでいってます。

美味しいご飯ー4

 こんなにも機械化が進まなかった 幼いころには 正に 88の手間をかけての稲作です。
 まず苗作りから始まります。 種まきの日には 家族総出で おひつに  炊き立てのご飯を持って 田圃に出かけます。
 昼になると あぜ道に筵しいて昼食です。  子供たちは 袋を持って 其の食事の席を回ります。  あられやなにがしかの お菓子などを スズめを追うてくれや と言ってお百姓さんたちが 袋に入れてくれます。  それが稲作の 一歩の始まりです。
苗が 育つ間に お百姓さんは 田圃を 水田に変えていきます。  耕運機のない時代は牛にひかせた すきぐわで 何度も何度も 土が どろどろになるまで 砕いていきます。 モグラに 穴をあけられた 畔を丁寧に 塗り固め 水の盛らない土手を作ります。 築で 管理する ため池の水が使える時期が決まっているので 大体  自動的に 順番に 水田が出来上がっていきます。 最初は どろどろの 泥田でしたが そのうち 泥が沈み 澄み切った水の田圃に代わっていきます。
 数日だけの 間ですが とても信じられないほどに  澄み切った水の大地が出来上がります。
瀬戸内海に向かって 水盤のテラスが 海に沈みこんでいくような 不思議な風景が出来上がります。
 夕日がせとうちに沈もうとする一瞬ですが 火星か 何かのように 赤い光を映して 見事な 夕暮れのドラマが見られます。

美味しい ご飯ー2

 昔は 葬式も法事 も 結婚式も 自宅で やっておりました。 皆さん 子供連れで参加です。  大きな おかまで いっぱいのご飯を炊きます。 おかまの底には お焦げができています。 手伝いの おばさんたちは そのおこげのところを ちよっと 塩味を聞かせて 手早く お結びを作ってくれます。
 わーい と子供たちは集まり お結びをつかみ 立ったままで ぱくぱく食らいつきます。 その 美味しさって 近年は お目にかかれません。 あ おめめでは無く 口にできてません。
 いつの日かに 死ぬ前に何を食べたい って そろそろ 先が見えてきた ML仲間と 話が盛り上がります。 苺に西瓜 せんべいにクッキー  握りずしにカレーライス と あれこれ頭に よぎり 言っては見ますが・・・
 あー やっぱり しろいごはんをたべたいよー 塩結びを 食べて死にたい が  やっぱり日本人です。 結局最終 白いご飯が結論に至ります。