死の床

 同級生の友人が入院していると言うので、
お見舞いに行きます。
二月頃までは元気だった!と、聞いていましたので、
お話しが出来るかな?
どんな具合でしょうか?

 病室の前に着くと、
内から着替えをしている声が聞こえます。
暫く外で待ちます。
着替えも終わった様なので中に入ります。
 友人の寝息が聞こえます。
えっ!今 着替えを終えたばかりなのに?と、
訝しく思います。
声を掛けます。少し目を開けて何か言ったようです。
物凄くか細い声だったのですが、
あの元気な時と同じ響きなのに、
一瞬 驚きます。

 また直ぐ いびきをかいて眠りに入ります。
担当医師が見回りに来ます。
「痛み止めを打ってるからね」と、言ってます。
唯、痛み止めを打つしか治療の仕様も無い状態でしょうか?
こう言うのって「死の床に着く」と言うのでしょうか、
体格の良い人でしたが、掛けた布団も薄く、
あやゆい存在感です。
父の最後もそうでした。叔父や叔母もそうでした。
でもそれらの人は、僕より遥かに年長で、
年老いて、其の状態が自然な気もしました。

 今、目の前で臥しているのは同級生です。
六十半ばは、特に若いと言うわけでは有りませんが、
まだまだ逝って仕舞うには早やい年齢です。
勤めなどしていたら退職して、子育ても一段落、
此れから第二の人生、
自分の楽しみに生きる年齢です。
偶にしか会わない友人でしたが、
もう会えなく成るかと思うと寂しいです。
無念の死を思うと悲しいです。
今までお世話に成ったお礼を言って帰ろうとすると、
目を開け何か言います。
そして、また静かな寝息をたてはじめます。

 此の文章を書いている途中で訃報が入ります。
安らかにと祈ります・・ 合掌