抜きど

 学校帰りの子供達が川の中を覗き込んでます。
浅い川の所では道路に腹這いに成ってます。
少し行った深い川の所には入っている子もいます。
「何してるの?」
「魚がいっぱい居るんだ!」と、力んでいます。
「えー、金魚?」
「違う 鮒だ!」と、金魚なんか居るわけ無いだろう!
って、感じで答えられてしまいます。

 そんな事無いんだ。
十数年前、川が真っ赤にになるほど、
金魚が泳いでた事もあったんだよ。
親戚の小父さんがバケツに何杯も掬って、
奥さんの実家の山の堀に持って行って放したのです。
谷川の水を引いた其の堀も真っ赤になってましたね。
其れほど沢山居たんだよ!

 あ、そうそう、其れから後です、
外来種のブルーギルが異常発生した事も有ったよ。
細い川にもうじゃうじゃ居て重なる様に泳いで種。
ブルーギルは鮒や金魚と違って丸っこいから
横泳ぎでばやばしゃしていたね。
だが、ある日突然、川に水の来ない日が有って、
すると、さあ大変!ブルーギルは蛙飛びで移動です。
うまく水溜りに辿り着いたものは良いのですが、
ほとんどが夢半ばにして頓死!
そして其の後が物凄い事に、
簸やがった川底で、初夏の日差しに熱せられ、
一気に腐り始めます。
ブルーギルって、もともと臭い魚です。
それが、川と言う川で腐った物ですから、
村中が吐き気のする臭さに襲われます。

 我が家の辺りでは今が田植えのシーズンです。
其の為に、溜池の水が定期的に抜かれます。
それを ゆる抜きと言います。
当番の小父さんが田んぼの具合を見ながら抜きます。
誰かが池に、鮒や金魚を放すんですね。
秋から冬に成長して
其れが繁殖して、抜かれた水といっしょに
此の頃、こうして流れて来るんでしょう?

 あー!今年は鮒で良かったです!!