K君は音楽の先生では有りませんでしたが、
ブラスバンドを担当していたり、
自らも金管バンドを楽しんでいたり、
家族対抗歌合戦全国大会にも出場する音楽愛好家です。
何処かで死期を察知していたのでしょうか、
「お経より音楽に送られて逝きたい」と、
話していたそうです。
通夜の日にはかっての教え子達が
送る歌を、担任当時のテープと共に
合唱します。
金管バンドのメンバーは 千の風に成って”を
演奏します。
最初 乱れていた旋律が中盤になって
ゆったりとした音が響き始めます。
泣かないで下さいと、歌っていますが、
会場に啜り泣きの声が漏れ始め、
波の様に風のように、最後は全体に広がって行きます。
こんな悲しい 千の風に成って”を聞いた事は有りません。
今、K君の魂が風に成って、
我らにお別れを言っているのでしょうか?
ご遺体と最後のお別れです。
信じられない余りに突然の死です。
触れさせてもらった頬は凍るように冷たかったが、
出来るなら、生き返って欲しい、戻って来て欲しいと、
思わずにはいられません。
担任クラスの子供達の歌に見送られて出棺です。
音楽に送られてK君は彼岸に逝って仕舞いました。