湖畔のお土産店

 15-物差しのチョコレート

 ミズリーナ湖の湖畔に小さな小さなお土産店が在ります。
我ら十名が入ったらいっぱいです。
我ら視覚障害者は風景を見る時は
何処を如何見れば良いのか取り付く島が無くて、
呆然と佇んだりしてますが・・・
お土産店に入ると俄然元気で、
蟻が砂糖に集るように
端から触りまくって行きます。
添乗員さんやガイドさんは大忙し。
此れ何ですか?いくらですか?と、
あっちからもこっちからも声が掛かります。
女性陣は店を全部買い占めるきでしょうか?

 楽しい買い物が終わって、
バスがぐるぐると雪の道を回って、
今夜の泊まりの
ドロミテ街道西の拠点のチロルの古都
ボルツアーノに向かいます。

 僕の座席の通路を挟んで、大阪のIさんです。
座席に置いたリュックから長いチョコレートの箱
先のトイレ休憩の時に買った
四本がにょきっと出ています。
ありがとう!一本づつわけよう!と、
僕の後ろの席の自主的さんが言います。
遭難しても皆のチョコレートを出し合えば、
当分生きて行けるぞ!とも言ってます。
大阪さんは 駄目駄目と、相手にしてくれません。
 其のチョコレートですが、ホテルに帰って皆の話題です。
幅十五センチに長さが五十センチも有って、
箱に物差しの様にメモリが着いているのです。
Sさんも買いたかった!と、物欲しそうです。
こんな面白いチョコレートがまた見つかるでしょうか?