スイスの美しく古い村

 17−秘境を訪ねて

だんだん記憶が薄れています。
食事の内容を書いた紙が行方不明だし、
ガイドさんの説明も録音していないので
記憶の糸を手繰り寄せる術も有りません・・・
今日の昼は何を食べたのでしょうか?
昨日も今日も雪の山、冬景色の中を
バスでぐるぐる回っていったので混乱しています。

 北イタリアのチロル地方のドロミテ街道の時は
チロル公のお城や砦がいたる所に在ります。
ガイドさんの説明を聞きながら、車窓を幾ら探しても
僕の目には入りません。
 葡萄畑、林檎畑や牧場に羊や牛の群れも見えません。
あー損だな!と、思うのですが。
今回参加の十名の内、四名は全盲です。
全盲の方は何を頼りに旅を楽しんでいるのでしょうか?

 途中 トイレタイムが有ります。
お洒落なトイレで、蛇口のセンサーが微妙な位置に有って
手のかざしようが悪いとなかなか水に出てもらえません。
カフェにお土産売り場が付いてます。
トイレが終わると皆、お土産売り場に、
危険を感じた添乗員さんが、時間が無いから!と、
見せてはもらえません。先に急ぎます・・

  エンガディンの谷から、秘境の地へ向かいます。
もう飽きるほどバスに乗った気がします。
大きな木々の繁みも無くなり、かなり高いと頃です。
外は全く寒そうで、霙も時折 窓を打ちます。
教会が見える!と、自主的さんが言います。

バ スが停まり、我らはスイスの美しい村、グアルダ散策です。
此の辺りはラテン語の流れを汲む古いロマンシュ語を今も話している秘境の村です。。

厚い壁、小さな窓、此の地方独特のスグラフィットという手法で描かれた
幾何学模様の装飾の有る建物が十数軒ぱらぱらと建ち並んでいます。
 灰色の村は粉雪に煙りながら寂しく在ります。

 小さい歩道には雪が降り積んでいて滑りそうです。
いつもはだれかの後ろの後から着いて行く感じですが、
此処では自主的さんから単独手引きを受けます。
お陰で すってんコロりんと行かず助かります。

 壁を削って描かれた絵を触らせてもらいます。
かなり深く彫り込まれた絵はざらざらとして素朴な温もりが有ります。
こんな厳しい深い山の中で生抜く人を守ってきたのでしょう?
村の中ほどに、民家と同じ手法で造られた教会が在ります。
四角に丸い屋根を乗せた鐘楼は良い感じです。
今回の旅で一番心に残る風景です。
残念に思うのは、自主的さんにお願いして、
ぐるーっと周りを回ってもらえば良かったと、
それが唯一の心残りです。

 あっ!郵便バスが。とガイドさんが言います。