トレ君の奇跡‐8

   8-大きな縫い目です。

  次の日は もうフードも少しづつ食べられます。
首輪が傷に当らない様にと、注意しつつ
軽い散歩に出かけられます。
 三日目、四日目と、傷も順調に癒えています。
と、PWさんから経過報告です。
トレ君は順調に回復です。
若いから治りが早いのでしょうか?
再びの奇跡でしょうか?

 でも、僕は未だ一人の散歩です。
体がなまるといけないと、白杖片手に
一応其の辺りをぐるりと回って来ます。
 予定に有った学校訪問も一人です。
愛嬌もののトレ君が居ないと、
今ひとつ盛り上がりません。
 研修会も一人です。
何だか元気が湧きません。

 十一月二日 水曜日、
術後一週間目の検診を受け、合格で
トレ君帰って来ます。
PWさんが仕事を終えて連れてきてくれます。
 遠くに行ってる子供が帰って来るような、
久しぶりに孫が遊びに来るような!
経験は無いけど、そんな気持ちです。
 トレ君の敷物も洗いました。
柔らかいクッションも出し、
わくわく気分で待つのです。

 トレ君帰って来ました。
帰って来たトレ君、僕に一生懸命話し掛けます。
痛かったんだよ!でも泣かなかったよ!と、
言っているのでしょうか?
体をぶつけて話します。
痛かったね。痛かったね!と、トレ君を抱きしめます。
よく我慢したね。賢かったね!と、
頭を撫で撫でして上げます。
そうだよ、頑張ったんだよ!と、
僕を鼻先でツンツン突いて話します。
トレ君に取っては晴天の霹靂です。
其れを乗り越えたトレ君
自慢げにしっぽをぶんぶん振ってます。

 トレ君の首筋には痛々しい手術の跡です。
首の幅いっぱい横に切られています。
大きく縫い合わさった所には
糸が鬣の用にピピンと立ち上がっています。