不幸は突然に・・・

 爺ちゃんは 寂しい気持ちを充分に慰められながら
プチと楽しい日々を過ごします。
プチは我が家で生まれて育った子犬だったので
鎖にも繋がず 自由にしていました。 其れでもプチは
爺ちゃんと僕の目の届かない所には行かず
いつも子供の様に我らの周りで遊んでいます。
30年ぐらい前の我が家辺りはまだまだ田畑も残り
お隣さんや近所の人たちも 皆でプチをみまもってくれます。

 ある朝 プチが車に撥ねられた!と 知らせが入り
僕は通りの方へ飛んでいきます。
爺ちゃんは田んぼの畦で プチを抱いて呆然としています。
僕が覗き込むと プチはもう ほとんど息はしていず・・
すーっと眠るように 逝ってしまいました。
 不幸は突然にやってくるものです。
怒りと悲しみで 我らは泣く力も失なっていました。

 プチは爺ちゃんのトレーラーに乗せてもらって畑に行き
暫く遊んで 僕の所に帰ろうとして
朝の通勤に急ぐ車に撥ねられたのです。
かなりのスピードを出して居た車でしょう
撥ねられたプチはボンネットの上まで跳ね上がった!と
見ていた隣のオバサンが教えます。

 愛する対象を 連れ合いに続いて失った 爺ちゃんは・・
其の空虚な心の穴を何とか埋めたい!とおもったのでしょう
子犬を貰いに行こう!と 唐突に言い
役所の不要犬収容所へ向かいます。