なすびぃーこ

 我が家辺りの農家では・・
現銀収入として 煙草の葉つくりが盛んでした!
麦と稲の間に作るのです。
そして暑い夏に 葉を乾燥させます。

 村落の あちらこちらに葉を乾燥させる
荒壁ぐくりの乾燥場が在ります。
夏の夜に 一晩中 火が焚かれます。
オジサン達が縁台将棋なんかしながら火の番です。

 其処へ 大きなボテ茄子を持っていって
丸ごと火の中に放り込んで 焼いてもらいます。
暫くすると ボテ茄子の丸焼きです。
未だ焼き炭のように熱い焦げた皮を
ひぃひぃ言いながら剥いて 生姜重油出食べます。

 お母ちゃん 今晩のおかずは何?って聞くと・・
母は なすびぃーこ だよ!って其の夜は答えます。
 びぃーこ は 此の辺りの方言で魚のことです。
今夜は魚のご馳走だよ!って洒落てるのですが・・
魚嫌いの僕は びぃーこ!より 茄子びぃーこの方が
小骨にも悩まされず良かったですが・・・

 乾燥場もボテ茄子も見なくなりました。