母の祭り寿司

 母は料理が得意ではありませんでした。
でも お祭りには ちらし寿司をつくります。
僕は出来る前から摘み食い
そして 出来立てを直ぐ食べます。
巣の香りが強く香って美味しいのです。
腹いっぱい食べて もう一杯食べます。
一番美味しい時に食べておかなきゃ!と
掻き込みます。
 橙が有れば 橙の酢を絞って混ぜます。
自然な香りが鼻をとおって何とも言えません!

 お母ちゃんの御寿司は美味しい!と
父も褒めます。
パックに詰めて売ろうか・・?と
未だ近くにスーパーなどない時代
もしかしたら人気が出たかもしれません。

 隣のばぁちゃんに 時々 母の御寿司の話しをします。
ばぁちゃんも時々作ってくれました。
母の次においしかった!三杯はお変わりします。
何でも無い日でしたが お正月も過ぎた頃 
何か思い立ったのか お寿司を造ってくれます。
体が怠かったので 牛蒡を削って っとかはしんどくって
ちらし寿司の瓶詰で間に合わせたのですが・・
其れでも 卵焼きを沢山飾ってます。
其れから 数日後にばぁちゃんは倒れ
帰らぬ人になりました。
 何となく其の時 此れが最後の ばぁちゃんのお寿司かな・・?
と 想ったのが その通りに成りました。
其の時は 母の様な本当のちらし寿司を食べたいな・・と
想いましたが 
半分インスタントのbぁちゃんのお寿司の味が
今は ちょっぴり悲しく思い出します。

 もう 母のお寿司はたべれません。
母の味を残した ばぁちゃんのお寿司も食べれません!
今年のお祭りは スーパーで買って来たお寿司です。
「おばぁちゃんのお寿司」とラベルが貼られてますが
田舎風にしたててありますが 物足りません!

牛蒡や人参 椎茸に蓮根 筍に豌豆と
野菜を甘辛く煮込んでたっぷりと混ぜ込んだ 
橙酢の香り立つ
お寿司がこいしくってたまらない
今年のあきまつりです。