蟻地獄ー2

掃除を終えたばかりの風呂場は
清涼な風が吹いて居るような気持ちよさです。
 風呂に入るのはたやすいが
文章にするのは難しい と芥川龍之介 が言っていますが
我らは風呂に入るのも難しいですよ!
 掃き清められた古寺の庭
拭き清められた部屋に入ると
見えないわんきちでも
その清々しさが 顔に体に
沁み込むように感じられます。
 いいもんだね とジィジィさんと
滑らかな湯にまったりとします。

 穢れの無い風呂を堪能して
先に帰っているよ って言うと
じぃじぃさんは まってくれーと追いかけてきます。
あーぁ また段差をふみはずしそうになり
曲がり角の壁にぶち当たって行くのです。

ちょっと天井を見てごらん
電灯がッ見えるでしょ。
電灯の形が変わる所で段差 そして
電灯が途切れる所で曲がるのだ と教えます。
じぃじぃさんもワン吉も まだ高原は見えます。
残っている能力はつかいましょう と偉そうに
言い聞かせます。

 部屋に帰ると 一人残されているピーちゃん
寂しかったのか すり寄って甘えてきます。
人の気配の無い知らない所に置いて行かれたのが
不安だったのか 敷物を噛んで破いて居ます。
 はいはい大丈夫だよとなだめつつ夕食にします。

 そして我らもホテルの中の食堂へ降りて行きます。
在りの巣の様に 下りては
横穴へ と進みます。
 もうどこにもボランティアさんは居ません。
先ず 美味しい匂いのする方に体を向け
皿の音とか話し声を頼りに足を進めます。あ