収容所は素焼きレンガで造られた建物が並んでいます。
一見、ヨーロッパの農家の納屋に見えたりします。
中に入ります。
小さな窓が高い所に一個在るだけの部屋です。
棚のような長いベットが設えられています。
一人に与えられるのは二十センチです。
大柄な西洋人にとって、片足ほどの狭さではないですか?
此の酷寒の地でありながら一晩に燃やせた
ストーブの薪は二本です。
此の収容所では処刑されたのは何十名かで、
ほとんどの人がそんな過酷な環境の中で、
疫病、栄養士失調、衰弱で亡くなっていったのです。
其の亡くなった人達の墓は入り口前の丘に在った
二万数千個の小さな四角い石です。
独房の並ぶ建物に入ります。
鉄の扉で仕切られた一畳ほどの窓の無い部屋が
独房です。
トレイス君がしきりと身を震わせます。
地の底から湧き上がる無念の呻きが聞こえるのでしょうか?
洗面所です。
蛇口と洗面台が並んでいます。
だが此処は一度も使われる事が無かったのです。
何故なら、蛇口は壁に突き刺さっているだけで、
水道管には繫がって無く水は出ません。
検閲に来る赤十字への見せ掛けだったのです。
となりはシャワー室です。
服を着たまま熱湯を浴びせ、
体や衣服に着いた蚤やダニの駆除をしたのです。
身震いのする惨たらしい、野犬収容所以下の仕打ちです。
トレイス君は此処でも激しく身を震わせます。
ガイドさんは直立不動で、ナチスドイツの非道を話します。
一つ一つ漏らさず伝えようとしています。