夕食を早目に食べて、夜のロケに出ます。
ホテルでパーティが有るとかで、
カレーライスしか作ってもらえませんです。
スタッフさん達は、ロケの後で、
町に繰り出すと、言ってます。
明日の朝も早朝ロケですよ!皆さん元気です。
今夜は十五夜です。
そろそろ月の出の時間です。
僕らは歩いて行きます。
トレ君と月夜の浜辺に散歩です。
波は朝と変わらず、どーん、ざ、ざ、ざ、ざぁーと
大きな音を立ててます。
学校から借りて来て発電機がたかれ、
ライトを照らしています。僕らは其処にしゃがみます。
浜辺で月の出を待つ!生まれて初めて、
ロマンティック気分でトレ君とデートです。
あっ!誰かが声を出します。
月が出たようです。東の水平線に上った?
目を凝らします。僕の目は探しきれません。
薄雲か喪やが有って、淡い色合いだそうです。
「オレンジ色だ!」と、言ってます。
ディレクターさんが、必死で僕の頭を抱えて
其処に僕の視点を合わせようとします。
あっ!其の時です。
右目下方に真ん丸い月が飛び込んできます。
(僕の右目下方は今一番視力の有る一点です)
赤い!不思議な色です。
僕は夜盲が強かったので、夜の外出は無いのです。
還暦を越えて、
初めて海からの月の出を見る事が出来ます。
それがまれに見る赤い月です。
赤い月は、一瞬色を濃くして輝きます。
だが暫くして雲に隠れてしまいます。
一瞬の天体ショーは終わります。