「白桃」父の夏

夏に成ると思い出す。
大きな桃を丸ごとかじっている父を。
桃が大好きでご飯のように食べてます。

姉が言ってます。
入院している時、
「桃を買って来い!」と言って、
暑いのに毎日、買いにいかされたんよ!
其処の病院の辺りは桃の産地で、
物凄く立派な桃が売ってましたね。
父は桃を食べて元気になります。

昔、母の居た頃、我が家は何でも屋です。
父が市場で仕入れてきた、野菜や果物も売ってます。
当然、夏は桃もあります。
桃は傷み易く、売れるより父の口に入ります。
我が屋で売っている桃は庶民的な大きさです。

父は新聞を敷いて、
お皿に入れた桃を持って、
タオルを用意して、食べ始めます。
桃を前にした父は悪戯っ子の目でです。
美味しいのはみずみずしくって、
果汁がぽたぽたです。
父は最期に、皿に溜まった果汁を
ちゅちゅうと飲み干します。

僕は桃が好きでは有りません。
薄い皮が上手に剥けないし、
お汁で服がぺたぺただし、
なかなか美味しいのに行き当たらないし、
だから、あんまり桃は食べません。
でも、今度大きな桃を見つけたら
父のように丸かじりしてみよう!