はい!カット

9‐ロケの旅 涙待ち!
七月二十七日、火曜日の朝です。
今朝も海岸のロケです。
昨日は余りにも早すぎたので、
朝日が昇ってから撮ります。
僕のシーンは直ぐ終わります。
カメラさんがカメラのバッグを
僕の為に椅子にしてくれます。
皆さんの撮影が終わるまで、其処で待ちます。
トレ君に朝御飯のお弁当を上げます。
昨日も今日も海亀探査のオジサンが通っていきます。
毎日、この四キロの海岸を往復して
探査してるそうです。
砂浜を毎朝8キロ歩くんですよ!凄い!

最後に海岸での僕のインタビューがあります。
見えなく成った事などあれこれ聞かれます。
インタビューでは決して涙は流さないぞ!と、
思っていたのですが、
失明して、朝日も月も無い世界にはいっていくのだと、
心によぎると、涙が溢れてしまいます。

「はーぃ カット」
そこで、僕のシーンは終わりです。
ディレクターさんに仕掛けられた罠です。
繰り返し責めてくる質問は、
僕の涙待ちだったんです。